02 Jun 2020
2020年06月02日
本書は、現在の多国間枠組みに生じている変化を取り巻く問題を検証し、自由貿易と多国間主義の限界をめぐる現在の政策対話を充実させるような解決策を提示することを目的としている。支配的な多角的貿易体制が直面する課題の現状と超国家的な対応について、特に世界貿易機関(WTO)の改革に関する提案に焦点を当てて論じる。アジアの役割と、この地域の主要国の対応についても紹介・議論し、共通の目標を達成するための国際協力体制を維持しつつ多国間主義を活性化させることの必要性について検討する。
超グローバル化の時代は金融不安と経済格差がますます色濃くなっており、特に貿易ルール、為替動向、技術動向をめぐる意見の相違の拡大は世界経済をさらに悪化させる恐れがある。今日の情勢を踏まえた世界経済の見通しは厳しく、支配的な多国間体制は、市場を安定させ、健全な投資環境を育み、万人のために機能する金融の未来を創造するために必要なリソースを提供することにも調整を図ることにも失敗していると指摘する専門家もいる。現在の多角的貿易体制は、政治的信頼が失われ、所得格差が拡大し、超グローバル化の勝ち組に有利であるように思われる政治路線の中でまだその目的を果たし得ているのだろうか?もしそうでないのであれば、いかにして集団的行動と責任の共有に基づく多国間貿易を再構築するのか?そしてこうした変化の中で、アジアはどのような立場を取るのであろうか?目次序文Rabea Brauer(ラベア・ブラウアー)、Cristita Marie Perez(クリスティタ・ペレズ)ドイツとアジアの経済関係David GREGOSZ(ダーフィト・グジェゴシュ)多角的貿易体制の活性化に向けた展望:WTO改革に関する提案Ralph WROBEL(ラルフ・ヴローベル)WTO紛争解決制度改革の課題福永有夏多国間主義の活性化:新しい世界秩序?Saon RAY(サオン・レイ)WTO改革における中国の役割Matthias SCHAEFER(マティアス・シェーファー)世界貿易の動向とインドの対応Sharmila KANTHA(シャーミラ・カンタ)自由貿易を追求するシンガポールLurong CHEN(ルロング・チェン)台湾のWTO加盟 – 戦略、利益、展望Kristy HSU(徐遵慈)ベトナムの国際貿易投資:チャンスと課題PHAM The Anh(ファム・テー・アン)経済と規制の不確実性の渦中における地域の成長とイノベーションの促進:アジアの情報通信技術(ICT)セクターの事例研究Juan Sebastian CORTES-SANCHEZ(フアン・セバスティアン・コルテス=サンチェス)
Project Lead: Cristita Marie Perez
プロジェクト担当 Cristita Marie Perez
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