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新型コロナウイルス感染症とアジアにおけるビジネスの展望:中小企業と労働者のベターノーマルを目指して

2020年のパンデミックの最初のピーク時に、コンラート・アデナウアー・シュティフトゥング(KAS)のアジア経済政策プログラム(SOPAS)はアジアン・インスティテュート・オブ・マネジメント- リザリーノ・S・ナバロ競争力政策センター(AIM RSN PCC)とともに、『新型コロナウイルス感染症とアジアにおけるビジネスの展望』に関する包括的な報告書を発行した。この報告書では、調査対象となった東アジアおよび東南アジア諸国の中小企業が、パンデミックに対応するためにいかにしてアジリティ(機敏性)、レジリエンス(回復力)、イノベーションを向上させなければならなかったかについて検討した。また、コロナがどのように仕事の未来を変えたか、グローバル化の状況を変化させたか、そしてアジアと欧州の視点から、関係、制度、経済規制を再構成したかを考察した。

最新の『新型コロナウイルス感染症とアジアにおけるビジネスの展望:中小企業と労働者のベターノーマルを目指して』は、2020年の報告書をさらに深く掘り下げたフォローアップ研究で、政策、ビジネス戦略、国際関係に関する発見について、より詳細に考察した。本報告書では、コロナの世界的流行が日本、シンガポール、タイ、フィリピンの中小企業に与えた影響と、中小企業が事業の継続性を確保すると同時に従業員の福祉を守り、政府が定めた安全プロトコルを遵守しようする中で講じた戦略的危機対応を詳細に評価する。特定された戦略的対応と、それが中小企業の全体的な業績と従業員に与えた影響を検討する中で、中小企業のアジリティ、レジリエンス、イノベーションに特に焦点を当て、政策や政府の行動について提言を行う。

大国間競争時代の 東南アジアにおける 日本の役割 ――日・EUパートナーシップへの 政策的含意

東南アジア諸国は、米中二極化構造のなかで、いかなる戦略を取れるのだろうか?本研究は、東南アジア諸国のバランサーおよびヘッジ・オプションとしての日本の役割に注目する。

この研究課題を遂行するために、本報告書では、カンボジア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイの東南アジア5カ国の事例研究を実施し、各国の第一線の専門家が、安全保障、政治、経済、文化などの側面から対日関係を分析し、政府関係者や専門家にインタビューを行って議論を補完した。本書では、ASEAN における日本の重要性を東南アジアの視点から分析することに加え、日本の視点から日・ASEAN 関係について分析した章を設けている。それにより、本研究は、東南アジア地域のアンカーとしての日本について、「インサイド・アウト」と「アウトサイド・イン」双方の観点から、東南アジアにおける日本の役割についての包括的な視座を提供している。

本研究は、KASベトナム事務所と、ドイツのベルリンにあるKAS本部(アジア太平洋部門)の研究員である滋野井宏記との共同プロジェクトです。

成功への道:デジタル化時代における 女性経営企業の変革のあり方
ベトナム、韓国、シンガポールの ケーススタディ

本書は、2020年にコンラート・アデナウアー・シュティフトゥング アジア経済政策プログラム(SOPAS)がウーメンタムと提携して刊行した「成功への道:デジタル化時代における女性経営企業の変革のあり方」の2巻目である。最初の国別調査を行ったカンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマーに加えて今回は、さらにベトナム、韓国、シンガポールの3カ国に焦点をあてた。引き続きコロナのパンデミック下、女性経営中小企業(WSME)が自らの事業の成長のために新技術をどのように利用・活用しているかに関する調査を、1)資金調達へのアクセス、2)メンタリング、ネットワーキング、スキルへのアクセス、3)ビジネスプロセスと管理、4)危機管理という4 つの分類をもとに行った。 WSME の利害関係者のマップ、WSME のデジタル成熟度指数、政策循環の段階に関する報告が今回新しく加わった。

 

 

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アジアの若者と働き方の未来
カントリープロファイル:ベトナム

ベトナムの若者についてより深い分析を行い、この部門におけるより良い労働の未来を確保するための包括的な戦略を打ち出すことが不可欠である。それが本カントリープロファイルの目的であり、本カントリープロファイルは4 つのパートから構成されている。第1部では、ベトナムの状況、労働力の人口統計、特に若者の労働力について概説する。第2 部では、ベトナムの若者の未来の働き方の傾向について、第3 部では、ベトナムの若者が労働市場で直面する課題について論じる。最後に、若者の未来の労働を支援するための政策対応と提言を示す。

アジアの若者と働き方の未来
カントリープロファイル:マレーシア

本カントリープロファイルは、マレーシアの未来の労働の実態を明らかにするためのものである。第1 部では、 マレーシアの若者の現状を、人口統計学的視点、教育や若者の労働力参加から検証する。第2 部では、マレーシ アの若者が直面している現実を、若者にとっての機会と課題の両方から論じる。そして最後の部は、若者が労働に移 行する際に直面するいくつかの課題をさらに軽減するための政策提言を行うものである。 

アジアの若者と働き方の未来
カントリープロファイル:インドネシア

このカントリープロファイルは、読者に対してインドネシアにおける労働の未来について理解を促すことを目的としている。第1部では、インドネシアの若者について、人口統計、教育、雇用の動向を通して見ていく。第2部では、インドネシアの若者の将来における仕事の機会と課題を分析する。そして最後に、将来の仕事に移行していくうえで、若者をさらに支援するための政策的対応と提言を行うものである。

アジアにおけるデジタル化、貿易、地政学

本書『アジアにおけるデジタル化、貿易、地政学』所収の論文は、コンラート・アデナウアー財団(KAS)「アジア経済政策プログラム(SOPAS) 」による出版物 であり、デジタル化によって貿易や国際経済に関する我々の理解がいかに変化しつつあるかを調査する。そしてデジタル化が、生産、消費、貿易パターン、国内および多国間の規制の枠組み(地域自由貿易協定で合意されたものも含む)に与える影響を評価する。また、経済主体(例:WTO、多国籍企業、デジタルプラットフォーム)の進化しつつある役割と構成を考察し、電子商取引や新しい技術(すなわちブロックチェーン)を巡る問題について検討する。

序論

世界は、徹底的なデジタル化に対する地球規模での突然かつ早急な適応を目の当たりにしている。このプロセスは何年も前から始まったが、現在の凄まじく早いペースは、少なくとも2010年代の半ばまでは予想されていなかった。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって、世界はまだ備えができていない未来に向かっている。この状況はアジアも例外ではない。しかし、多くのアジアの国々が講じた、こうした新しい現実に対する迅速な対応策で明らかなように、この地域は変化の影響への備えができている。特にロックダウン(都市封鎖)政策によって物理的な移動や取引が実質的に停止した状況からすると、デジタル化がこれほど確固たる基盤をなしていなければ、パンデミック(世界的大流行)によって各国はさらに甚大な損害を被っていただろう。

本書の一連の論文は、アジアにおけるデジタル化について、パンデミック以前の状態に加えて、ある程度まではパンデミックの渦中での状態について、概要を示している。アジア地域の学者や実務家が著した論文は、アジアの国々がいかにデジタル化に備えてきたかを理解する際に、貿易、国内取引、企業、産業および労働力、地域的な調整、地政学的影響、各国の対応といった側面から豊富な情報を与えてくれる。概して、本稿の論者は、デジタル化のプロセスを統治する地域的な枠組みを備える必要性については基本的に意見が一致している。地域的な枠組みが必要なのは、主として、デジタル化への準備の度合い、開放性、資本、デジタル化によって生じうる利益と損失を管理する制御能力に、各国で違いがあるためだ。

本書の構成は次の通りである。

• デジタル貿易の時代における戦略的貿易政策:アジアへの影響 ジウェイ・チェン

• グローバル・バリューチェーン、デジタル化、デジタル・レディネス:アジアの中小企業に着目した企業レベル分析 ウッパラット・コーワタナサクン

• アジア・太平洋地域における貿易金融とブロックチェーンの使用 セイオン・レイ

• 労働とデジタル貿易の容易ならざる関連 ロヘリオ・アリコル・パナオ

• アジア・太平洋地域のデジタル貿易 デボラ・エルムズ

• 南アジアの貿易パターンにおけるデジタル化の影響 アシヤナ・アディカリ

• デジタルシルクロードに沿ったデジタルインフラの開発:デジタル貿易とそのセキュリティリスクのバランスをとる方法 ヨンキュー・キム

• インドの越境電子商取引の枠組み シャルミラ・カンタ

成功への道:デジタル化時代における女性経営企業の変革のあり方
インドネシア、カンボジア、マレーシア、ミャンマーのケーススタディ

Woomentumと共同で実施した本研究では、デジタル化がWSMEの(1)資金調達へのアクセス、(2)メンタリング、ネットワーキング、スキルへのアクセス、(3)ビジネスプロセスと管理、(4)COVID-19危機管理に及ぼす影響を考察する。冒頭の章では、4カ国に共通するWSMEの課題に焦点を当てている。また、この章では、デジタル化がもたらす機会を利用するよう女性起業家に働きかけるために、政府や民間組織が採用できる政策提言と実践的提言からなる一般的な枠組みについても論じる。後続の章では、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマーの国別研究を取り上げている。各国のケーススタディでは、第1章で紹介した一般的な研究結果をより詳細に分析する。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とアジアにおけるビジネスの展望

コンラート・アデナウアー財団のアジア経済政策プログラム(SOPAS)は、COVID-19による「ニューノーマル」の様相を概説すべく、本研究すなわち『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とアジアにおけるビジネスの展望』をAsian Institute of Management Rizalino S. Navarro Policy Center for Competitiveness (AIM RSN PCC)と共同で行った。パンデミックで加速した構造的な変化によって国や企業の役割がどのように再創造、改善されているかに関する概略が、COVID-19のショックに対応するアジアのレジリエンスを通して世界に先駆けて示されている。アジア地域のビジネスが経済活動を再開すると、アジア諸国の政府や企業体は「ニューノーマル」を具体化し構築する独自の位置を占め、ドイツ、欧州や世界のその他の国々に、今回の未曽有の難局への対応方法に関するモデルを提供している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は、世界経済に大きな混乱と変動をもたらしている。生命や生活手段の喪失を受け、各国政府はこの危機に対応して大幅な介入を進め、企業は従業員、消費者、供給業者の急速に変化する需要に対応しなければならなくなっている。

世界中がCOVID-19のアウトブレイク(集団感染)に取り組むなか、アジア諸国は封じ込め戦略にいち早く先鞭をつけ、新たなプロトコルを具体化し、経済活動を再開させている。アジアはかつて数々の危機を乗り越え、そうした危機で打撃を受けたにもかかわらず、さらに強靭さを備えて浮上してきた。

本書では、アジアにおけるビジネスの展望がCOVID-19によっていかに転換しつつあるかを検討する。COVID-19が(1)中小企業(SME)のアジリティ、イノベーション、レジリエンス、(2)今後の労働、(3)グローバリゼーションの状態、(4)アジアと欧州の関係、(5)公共機関と経済的規制に及ぼす影響を理解するために、日本、韓国、フィリピン、シンガポール、ベトナムからデータを収集した。

本研究は、ビジネスのリーダーシップが、現在の極めて不確実な環境においてどのように変化しているかを考察し、SMEがこの危機に対応してどのようにイノベーションを発揮しているかを実証するものである。まず、雇用者と被雇用者の関係の変化、リモートワークがより広範に導入されるなかで労働の経済・文化的概念が変化する状況、就労制度の動向により「ロックダウン世代」にかかる負担に焦点を当てる。そして、グローバリゼーションに対する認識や、アジアの他の地域へのサプライチェーンの地域化や再編成に関する最新の傾向がどのように変化しているかを分析する。さらにアジア・欧州関係を変化させる最新の趨勢について論じる。最後に、本研究は、国家と民間セクターの関係がどのように変化しているか、双方の連携が今後も続くかどうかについてさらに詳しく検討する。

アジアの若者と働き方の未来
カントリープロファイル:台湾

本カントリープロファイルでは、世界的な課題として高まっている「労働の未来」と、それが台湾の若者の雇用に及ぼす影響について考察する。まず、台湾の人口統計、経済、労働力のデータについて簡単に説明する。次に、台湾における労働の未来の3 つの主要な課題について取り上げる:(1)労働の性質の構造変化、(2)教育と若者の雇用における格差、(3)労働力と社会的保護の問題。最後に、労働の未来に備える上で台湾が持つ優位性と、その優位性を生かすための政策提言を簡潔に述べる。