激動を極める世界では、国内・外部の双方から民主主義への挑戦が続いています。市民参加が脅かされ、人権の尊重が試され、平和が崩壊の危機にさらされている今日、KASが基本理念とする「平和」「自由」「正義」の理想の実現に向けて協力することは、未だかつてないほど重要なこととなっています。
KASは1955年に設立された後、1964年にドイツ連邦共和国の初代首相、コンラート・アデナウアーの名前を冠した現名称となりました。日本では、2011年に日本事務所を開設して以来、日独・日欧の関係強化に努める日本プログラムの推進と共に、アジア地域全体に焦点を当てたアジア経済政策プログラム(SOPAS)を展開し、アジア地域の経済・ガバナンスモデルの議論や改革に貢献する重要な知見を提供しています。
KAS日本事務所では、安全保障、持続可能な成長、およびSociety 5.0を3つの重点分野とし、ドイツおよびヨーロッパとアジアの架け橋として、両地域の政策立案者やシンクタンクを直接つなぐ役割を担っています。同じ志を共有する組織や団体等とのコラボレーションを通して、日本およびアジア地域や世界の繁栄に貢献してまいります。
ラベア・ブラウアー
コンラート・アデナウアー・シュティフトゥング日本事務所代表アジア経済政策プログラム・ディレクター
1955年に「キリスト教民主教育活動協会」として設立されました。
100以上の拠点から、120カ国以上で展開するさまざまなプロジェクトを推進しています。
「政治財団」という概念はドイツ独自のもので、ドイツ連邦議会を通じて資金提供を受けていますが、政府とは法的に独立した組織です。
1964年にドイツ連邦共和国初代首相でキリスト教民主同盟(CDU)の共同創設者であるコンラート・アデナウアー(1876-1967)の名前を冠した財団となりました。
KASの本部はボン近郊のザンクト・アウグスティンとベルリンに所在。ドイツ国内だけで600人以上のスタッフが働いており、現在もアンゲラ・メルケル元首相が理事を務めています。
日本プログラム
アジア経済政策プログラム (SOPAS)
2月20日、コンラート・アデナウアー財団(シュティフトゥング)(KAS)日本事務所は、中曽根平和研究所(NPI)との共同プロジェクトとして「経済安全保障―ドイツの視点」をテーマとしたセミナーを開催し、国会議員や政府・省庁関係者の参加を得た。本セミナーは、昨年12月にNPIとKASの間で締結された経済安全保障分野における協力関係を強化するための覚書(MoU)に基づいて開催されたものであり、その概要は以下のとおり。
2月7日から9日にかけて、ヨハン・ヴァーデフール キリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)会派院内副総務を団長とする同会派独連邦議会議員団が来日し、日本の国会議員や有識者との意見交換を行った。 議員団は、7日に衆議院第二議員会館にて行われた日独友好議員連盟総会に出席し、遠藤利明 会長をはじめとする与野党の国会議員と議論を交わした。総会では50名を超える日本の国会議員からの参加が得られ、日独の外交安全保障・防衛政策や対中政策のみならず、人権デューデリジェンスや対アフリカ政策など、多岐にわたるテーマについて活発な意見交換が行われた。 また、議員団の来日中には上川陽子外務大臣および木原稔防衛大臣との会談が持たれ、インド太平洋地域における貢献や日独物品役務相互提供協定(ACSA)に言及しつつ、国際情勢が不安定化するなかで外交・防衛面における日独連携を強化する重要性が確認された。伊藤信太郎 環境大臣との意見交換では、環境・気候問題に対する先進国としての日独の国際的なアプローチがテーマとなった。 さらに、辻清人 外務副大臣、森山裕 自民民主党総務会長、泉健太 立憲民主党代表および藤田文武 維新の会幹事長とも意見交換が行われ、日独の政治状況や主に外交・安全保障分野における日独協力のあり方等について議論がなされた。